体内の老廃物の排出や、水分量を調節する役割を担う腎臓。
しかし、なんらかの理由で発生した腎機能障害が進行すると腎不全という状態になり、定期的に血液から老廃物を取り除く人工透析が必要となります。
近年、生活スタイルに合わせて、自宅や職場などで透析を行えることで注目が高まっているのが、腹膜透析のCAPD。これは、体内に挿入されたチューブを通じ、腹膜に透析液を注入、一定時間経過後に排出することで、血液を浄化する治療法。透析のたびに通院する必要もなく手軽なCAPDですが、以前は透析液の排出・注入を続けて行う際、患者様自身が複雑な切替機を操作しなければならず、治療の負担になっていました。
この問題を解決するべく開発されたのが「ジョイントコネクター」。液の排出後、チューブとジョイントされたこのコネクターの先端部をアンプルのようにパキッと折るだけで、チューブ内が解放され、透析液を注入することが可能になりました。完成までに最も困難を極めたのが、折れ部の構造。折れ易すぎても、折れにくくても駄目。
ほんのわずかな設計のズレが、成形不良へとつながります。そのため大下産業は、金型の構造・精度、成形条件を徹底的に検証するだけでなく、出来上がった製品の検査方法まで新たに確立。妥協なきモノづくりが生んだ安心・簡単というかけがえのない価値は、今日も多くの患者様に利用されています。